コールセンター 電話応対講座 AtoZ_10

コールセンターのアウトバウンド

第10回目は、アウトバウンドにおいて大切スキルについて考えてみたいと思います。

コールセンターの業務は、顧客からの電話を受けるインバウンドと企業から顧客に電話をするアウトバウンドといったふたつに分けられます。

アウトバウンド業務は、セールスの要素が強く、積極的に顧客に連絡を取り、情報提供や商品・サービスの案内を行います。それによって、新たなビジネスチャンスの創出や顧客満足度の向上に貢献する重要な役割を担います。

アウトバウンドで求められる成果の主なものは以下の通りです。

 ・新規顧客の獲得

 ・既存顧客への追加販売やクロスセル

 ・商品やサービスの認知度向上

 ・アポイント獲得や来店誘致

 ・顧客との関係強化やロイヤリティの向上

 ・マーケット調査や顧客満足度調査の実施

電話をかける対象は個人客だけでなく、法人にもアプローチを行います。法人向けアウトバウンド業務では、企業が他のビジネス層に接触し、製品やサービスを紹介することが中心です。目的は、新規のビジネスパートナーや顧客を開拓し、B2Bにおける自社の告知や認知度を高めることにあります。このプロセスでは、直接的な商談の提案から情報提供、顧客ニーズの把握までが含まれます。

よくアウトバウンドは難しい業務だと言われますが、その最も大きな要因として、顧客にはニーズがなく、また顧客の都合には関係なく企業からアプローチする点にあります。そのため、断られることも多く、コミュニケーターのストレスに影響することも少なくありません。

アウトバウンドコールを成功させるためには、おさえておくべきポイントがいくつかあります。そのなかで、今回のコラムでは、会話をする際のスキル(技術)に着目したいと思います。スキルを持たずに、ただ電話をかけるだけだとお客さまから冷たく断られる頻度も高くなり、なかなか成果を見出しづらいものですが、その一方で好成績をおさめているコミュニケーターを観察すると、いくつものスキルを駆使し、成果への道筋をつけることができています。

ここまでアウトバウンドの概要をまとめてきましたが、以下で習得しておきたいスキルを整理してみましょう。

実践ポイント!  

ポイント① 「感じのよさ」を最大限意識する

上記で述べたように、アウトバウンドは企業都合でのアプローチのため、お客さまにとっては不要かもしれません。そのため、貴重な時間を割いてもらうためには、「この人の話だったら聞いてみようかな」と思っていただくことがファーストステップです。

そのためには、「感じのよさ」が重要になってきます。シンプルなことですが、意外と難しく、意識して練習をしないと自然にできるものではありません。「感じのよさ」を作るためには、声の印象やスピード、抑揚や間のとり方が大切になってきます。「感じのよさ」ついては、過去のコラムで詳しく解説していますので、興味のある方はぜひご覧ください。

アウトバウンドの場合、最も注意すべきなのがスピードです。コミュニケーターは、電話がつながると、お客さまに電話を切られてしまう前になるべく多くのことを話したいために前のめりになる傾向があります。しかし、それは逆効果です。いきなり電話をして、お客さまの反応を見ずに、自分本位に慌ただしく話をするのは、自ら「いま、忙しいので」といった言葉を引き出しているようなものです。会話を先に進めたい気持ちを抑え、つとめて落ち着いて話すことを心がけるとよいでしょう。

ポイント② 「ソフト語尾」で、配慮を示し、会話を柔らかくする

アウトバウンドでは、お客さまにお尋ねするシーンが何箇所かあります。例えば、会話冒頭に「いま、少々お時間をいただいてもよろしいでしょうか。」といった都合確認のシーン。また、クライマックスである、ご案内した内容についてお客さまの意向を打診するシーン。例えば「◯◯さま、ぜひこの機会にお試しされてみてはいかがでしょうか。」といったようなものです。

そのような場面では、ぜひ 「ソフト語尾」を意識しましょう。言葉の最後の文字をそっとつけ加えるような感覚で話すことで、印象がぐっとやさしくなる効果があります。

例えば、「いかがでしょうか。」や「よろしいでしょうか。」といったフレーズにおいて、最後の一文字が強く聞こえると、詰問調の印象になってしまいます。そこで、最後のひと文字の「か」をささやくような音に変えることで、より柔らかい印象を演出することができます。

こうした微妙な声のトーンによって、相手とのコミュニケーションがより円滑になり、お客さまに配慮や安心感を与える会話にすることができます。

ポイント③ ご提案やお薦めのあとは、やわらかな「沈黙のスキル」を

ご提案をした後はお客さまからの反応があるまでしっかりとお待ちすることが大切です。沈黙が怖く、ついこちらから話かけてしまっているケースをみかけますが、電話の向こうでは、お客さまは頭のなかでどうしようかと考えているはずです。急に電話がかかってきて説明を受けて、「この提案を受けてもいいのかな。。。」「少し考えようかな」「でも、魅力的だな」などと考えているかもしれません、そのような時に、沈黙怖さに、つい「○○さま!、では急なご案内でしたので、ぜひご検討いただけますか。もし何かありましたら、おハガキに書いてあるフリーダイヤルにお電話を~」などと話を進めてしまうと、お客さまは「今回はやめておこう」「もう少し考えてからにしよう」と少し後ろ向きな決断を引き出してしまう可能性があります。

「沈黙のスキル」とは、以下のようなイメージです。3拍お待ちしてお客さまがお話されない場合は、こちらからまた会話を進めてみましょう。

弊社の「アウトバウンド研修」では上記のポイント②と③を実践的に学習をしています。アウトバウンドの最終成果として、「YES」が得られるのか、はたまた残念ながら「NO」や「検討する」に着地するのかの違いに影響するからです。

いかがでしょうか。アウトバウンドを実施されているコールセンターさま、この機会に、ぜひコミュニケーターのスキルを振り返ってみるのはいかがでしょうか。より高い成果を得られるアウトバウンドのヒントになれば幸いです。

株式会社 booster 石橋由佳

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