コールセンターの品質と「マインド」

1. コールセンターの上質な応対に必要な4つの要素

当社ではさまざまなクライアント様から応対品質調査のご依頼をいただくのですが、応対品質調査を実施する際は、主に4つの要素から個々の応対を評価します。

4つの要素とは、「スキル」「トーク」「マインド」「知識」です。「スキル」は電話応対の技術であり、マナーや声、スピードなど「どう話すか」を評価する内容です。「トーク」は説明や案内など会話の内容であり、説明のわかりやすさや会話の流れなど、「何を話すか」に当たります。「マインド」は、電話応対に臨む心構えやお客様に与える印象であり、個々の技術というよりも全体から判断する要素です。「知識」は、文字通り電話応対に必要な知識ですが、コールセンターとして備えて欲しい知識というよりもお客様から見て知識面で不安がないかをポイントにします。

<上質な応対に必要な4つの要素>

  • スキル(会話の技術)
    電話応対のマナーや技術はどうか
  • トーク(会話の内容)
    説明の流れやわかりやすさ、魅力はどうか
  • マインド(心構え)
    応対に臨む心構え・姿勢はどうか
  • 知識
    応対に必要な知識を持ち合わせているか
    (お客様からみて不安がないレベル)

これらの4要素をベースとして、個々のセンターの状況に合わせて項目を設定し評価を実施するのですが、その結果として「早口」「抑揚が足りない」「説明がわかりにくい」といった具体的な課題が明らかになります。実施後は、評価結果を元にそのセンターの応対に最も影響を与えている課題を見極めた上で対応策を検討・実施することが必要です。

調査を実施した結果、コールセンターの中には、細かな課題だけでなく「全体的にスキル(会話の技術)が足りない」とか、「トーク(会話の内容)がわかりづらい」というように、課題に傾向が見られることがあります。そんな中で、 「 マインド(印象が良くない=心構えに問題がある)」という結果が導き出されるケースも意外に多いのです。

例えば、話す技術は高く丁寧で説明内容もそれなりに練れているものの、「質問すると答えてくれる」という感じでなんとなく受け身な印象があるとか、商品知識もあり説明も詳細だが、どことなく質問がしづらい雰囲気であるといった具合です。こうしたケースではどう対処すればよいのでしょうか。

2.コールセンターの「ミッション」は応対品質に大きく影響する!

「マインド」は、文字通りコミュニケーターのマインド(モチベーションや意識、姿勢)を測るもの。したがって、「マインド」が良くないというのは、応対に臨む姿勢にばらつきがあるなど、心理的な課題があるケースがほとんどです。これには、職場の環境や人事評価など様々な要因が関係してきますが、コールセンターの「ミッション」に原因があるケースも少なくありません。

「ミッション」とは、「使命」とか「存在意義」という意味で、企業全体としてのミッションを定めているケースもありますが、ここで言っているのはコールセンターの「ミッション」です。自社のコールセンターは何のために存在するのか。そこがしっかりと定義されていないと、1本1本の応対に影響を及ぼしてしまいます。

例えば、ひと口に「お客さまのお役に立つ」といっても、なるべくスピーディーにお客さまの課題を解決することがお役に立つことと考えるか、お客さまに笑顔になっていただくことこそがお役に立つということなのか。どちらが正解でどちらが間違っているということはありません。それぞれのコールセンターが「どんな応対を目指すか」ということに尽きます。

そして、それは、言葉で表したうえでコールセンターで働く者全員が正しく意味を理解し共有することで、初めてコールセンター全体の共通認識として同じゴールを目指すことができるのです。そうでなければ、それぞれが自分なりの考えで「お役に立とう」とした結果、かえってばらばらで統一性のない応対になってしまいます。

「どんな応対を目指すか」ということが共有されれば、応対の全体の印象が変わってきます。
また、ミッションはモチベーションにも影響を及ぼします。目指すべき姿が明確化することで、目標をもって日々の応対に臨むことができるからです。

なお、KPIや人事評価など従来から用いられてきている指標と矛盾しないようにすることも大切です。これらの指標と矛盾すると「何を目指したらよいか」がわからず、現場が混乱してしまいます。

いかがでしょうか。

現在のコールセンターの「使命」や「目指すべき姿」はしっかりと共有されているでしょうか。もし、曖昧になっている場合は一度センター内で話しあってみるのも良いでしょう。

コールセンター・コンサルタント 古館良子

サービスのご紹介

コールセンターの応対品質を覆面調査により把握します。自社のセンター調査だけではなく、同業他社との比較をすることで、業界全体の動向も把握することが可能です。

コールセンターの応対品質向上のためには、第三者の視点で品質レベルを把握することが大切です。市場通信では、事前に設計した綿密な調査計画に基づいたモニタリング調査を実施します。