ミステリーコールのサンプル数は?

今回はミステリーコールのサンプル数について述べたいと思います。ミステリーコールの実施についてご相談を頂く際に、一番多い質問が「サンプルは何コールが適切か?」ということです。

サンプル数によって調査のボリュームが決まり、コストに直接かかわってきますから、関心が高いのも当然です。

サンプル数を少なくしすぎると結果に偏りが出る可能性が高くなりますが、かといって、多すぎるとコストが膨らんでしまいます。

実態を反映した結果を得るために必要な数を確保しつつ、なるべくコンパクトに抑えたいものです。

サンプル数に関して、当社は「最低1社(センター)10コール程度を確保すれば、傾向を捉えることが可能」としています。ただし、同一センター内で種類の違うコール(例えば受注とクレーム対応など)を取り扱っている場合は、一種類につき10コール程度となります。

意外に少ないと思われるかも知れませんが、同じセンター内では、似たような応対になることが多いものです。会話の流れや受け答えの内容、お客さまに対する姿勢などはもちろん、本来一人ひとり違うはずの声のトーンまでが似てくるのです。

私たちは、センターの業務改善のサポートを実施する場合、コミュニケーターの方に会ってお話を聞く機会があります。すると、電話応対の録音音声では同一人物かと思うくらい印象の似た方が、地声で話しているという状況によく遭遇します。

後処理をしているうちに聞こえてくる話し方、スーパーバイザーやトレーナーの教え方によって、「そのセンターの対応」が先輩から後輩へ、脈々と引き継がれていくのです。

その前提に立ち、全体の傾向をつかめる最低ラインが「10コール程度」となります。それより少なくなると、1コールの影響が大きくなりすぎるため、お勧めできません。

ミステリーコールの結果は、最終的には集計してパーセンテージで数字を読むことになります。例えば、1社5コールで実施した場合に、1コールでも失礼な応対があっただけで、それは「20%が失礼な応対であった」という結果になるからです。

逆にサンプル数を増やした場合、当然ながら、調査としての精度は上がりますが、サンプル数を増やした結果、全く異なる結果になったということはありません。傾向値としても、得られる結果が同じならば、なるべくミニマムなボリュームで実施し、その後の対応策や教育・研修、トレーニングなどに予算を回した方が効率的な予算配分と言えるでしょう。

もちろん、コール内容や競合状況によっても変わってくるので、実施する場合は慎重に検討することが必要ですが、調査結果と予算の両方の妥当性が確保できるサンプル数にしたいものです。

ご参考になりましたか。

コールセンター・チーフコンサルタント 石橋由佳

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