思い入れを共有するコミュニケータとは?

以前ミステリーコールとトレーニングを実施した金融系のセンターでの事例です。

そのセンターでは、応対品質の向上に非常に力を入れており、基本的なスキルだけでなく抑揚など表現力を重視していました。

多くのコミュニケーターは、話し方や会話の流れなど基本的なトークスキルはマスターしていたのですが、スキルが高い分だけのきれいでやや人間味の薄い応対になっていました。そこで、「いかに気持ちのこもった応対をするか」がセンター全体のテーマとなっていたのです。

表現力アップは、スキル学習に加えて、「こんな感じ」というモデル音声を聞くトレーニングが有効なため、モデルになる音声を探していたところ、スキルとしては今ひとつなのに、とても心に残る応対をする方がいました。

Aさんというそのコミュニケーターは、かざりけがない話し方で、説明にもまわりくどい部分があるのに、お客さまを引き込む力が感じられます。よく聞いてみると、この方は自社の保険に加入していたのですが、数年前に病気で療養生活を余儀なくされたことがあったそうです。

その際、病気の治療や仕事を休むことへの不安、さらに経済的な負担に関する心配などで大変な時期があったそうですが、加入した保険で治療相談や金銭的な保障が得られたことでかなり気持ちが楽になったということでした。

こうしたご自身の体験を交えてお客さまにご案内をしていたのです。

「深く考えずに加入した保険でしたが、いざというときになってありがたさが身に沁みました。

お客さまには、万が一の時にあわてることなく安心して治療に臨んでいただきたいのです。」

こんな言葉が単なるセールストークではなくお客さまの心に響くのは、ご自身の経験から商品に対して本当の意味での愛着や信頼が声ににじみ出ているからなのでしょう。

もちろん、コミュニケーター全員が取扱う商品を購入(この場合は加入ですが)し、良い経験をすることなど不可能です。しかし、お客さま対応をしている中では、そのような話を聴く場面もあることでしょう。お客さまとこうした経験談を共有することで少しでも商品への魅力を伝えることは可能ではないでしょうか。

コミュニケーターが商品に全く愛着を感じていなければ、お勧めの言葉もそらぞらしく聞こえるもの。このようなよい事例コールを共有するなど、マインド(心構え)を高める研修を実施することは大変有効です。

ご参考になりましたか。

コールセンター・チーフコンサルタント 石橋由佳

サービスのご紹介

コールセンターに求められていることは何か?に着目し、センターの「あるべき姿」に向けて、応対品質の改善をお手伝いします。

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