コールセンターにおけるフィードバック後のフォロー

1.効果に疑問符がつくモニタリング・フィードバック

多くのコールセンターでは応対品質やお客さま満足の向上のため、定期的なモニタリング・フィードバックが行われています。

半期に一度、あるいは月に一度など実施の頻度は様々ですが、共通しているのは非常に時間と労力がかかる点です。

一人のコミュニケーターの評価をする際には、所定のモニタリングシートへ結果を記入しますが、5〜7分程度の音声であっても1枚を仕上げるには平均して20〜30分はかかります。

さらに、面談形式でフィードバックを行う場合は、前後の予備時間を含めると一人につき45分程度は必要となります。

このように、モニタリング・フィードバックは非常に労力のかかる作業なのですが、手間と時間の割には品質向上への手応えが薄い、と感じているセンターは多いのではないでしょうか。

実際、センター運営担当者様からよく聞かれるのが「フィードバック後は一時的に変化するものの、すぐに元に戻ってしまう。その繰り返し。」という声です。

しかしながら、効果が薄いのであればやめてしまう、というものではありません。

コールセンターにとっては応対そのものが主たるサービスであり、昨今はお客さまサービス業界において応対品質の向上の動きが加速しているなかで、品質向上に向けた取り組みをしないという選択肢はまずありえません。

モニタリング・フィードバックは品質を定点観測し、KPIや人事評価の一部として管理しているケースも多く、もはや議論の余地のない必須業務となっているのです。

2.モニタリング・フィードバックをやる以上は効果を出したい

コールセンターでモニタリングやそのフィードバックの実施が必須ならば、やはりそれなりの効果を期待したいものです。では、なぜ、現状ではそれらが実感しづらいのでしょうか。

まず、モニタリングの結果をフィードバックされるコミュニケーターからすると、その場では内容を理解し、取り組んでみようと思ったとしても、慣れた話し方を変化させることには不安や苦労が必ずあるものです。

頭でわかっていることと、実際にできることは乖離があるため、日々のお客さま対応を通じて、努力を重ねていくことは思っている以上に難しいことです。

一般的に、コミュニケーターが一生懸命取り組む姿勢を誰も見てくれていなければ、徐々にやる気もしぼんでしまい、そのうち忘れてしまいます。

こうしたモニタリングの定着を妨げる最大の原因は、センター側がフィードバック後、コミュニケーター個々人の自助努力に頼ってしまうことと、しっかりフォローができていないことが、大きく影響しています。

3.モニタリングのフィードバックは誰がやるのがいいのか?

モニタリング・フィードバックの流れはセンターによって異なりますが、大きく分けるとは2つのパターンがあります。

ひとつめは、品質管理部門(QA)が音声の評価からコミュニケーターへのフィードバックまでを行うスタイル。

もうひとつは、評価は品質管理担当者が行い、フィードバックは現場管理者(いわゆる、スーパーバイザー層)が行うスタイルです。

どちらがよいのか、という質問をいただくことも多いのですが、センターの運営体制や現場管理者の人材育成能力や経験、加えて品質管理部門と現場との連携などによって異なります。

そのため、一概にどちらが良いとは言えません。

現実問題として、どのセンターも現在のやり方を大きく変えることが難しいため、これまでの手法をベースに見直しをしていくケースが多いと言えます。

4.モニタリング・フィードバックの事例紹介

今回は、そのようなモニタリング・フィードバックの効果を少しでも高めようとしている、あるコールセンターの事例をご紹介しましょう。

その企業は生活周りのさまざまな商品を手掛けるメーカー様です。コールセンターには日々ユーザーを中心として、商品の使い方や不具合についてのお問い合わせの電話がかかってきます。

上記のコールセンターでは担当者によるばらつきはあるものの、品質レベルは比較的安定していました。

しかしながら、今後は数年かかっても、もっとお客さまの満足度がもっと高くを得られるような、コールセンターへの進化を目指すことに相成りました。

現在、上期・下期の2回の定期的なモニタリング・フィードバックが中心に行われています。

課題やテーマに応じて、「プチモニタリング活動」を組み合わせることもあり、活動は主に品質担当部門が一手に担ってきました。

品質向上に向けての課題としては、フィードバックの効果が一過性であり、なかなか継続的な成長が見込めないことにありました。

そこで改善を試みているのが、品質管理部門と現場管理者との連携強化です。

コールセンターによって、現場管理者(SV;スパーバイザー)の責任範囲や日々の業務内容は大きく異なります。

現場管理者はオペレーション運営にほとんどの時間を割かれてしまい、人材育成や品質向上についてはなかなか手掛けることができていませんでした。

「品質は品質管理部門が担うもの」といった意識がセンター内に定着していたということもあるでしょう。

コミュニケーターにとっても品質管理部門はやや遠い存在であり、近くにいる管理者の日々の指導に耳を傾けるといった風土もありました。

実際には品質管理部門の考える品質向上への課題感や取り組みが、コミュニケーターに届きにくい状態であったと言えます。

そのような環境下では、品質向上は少し見込みづらいため、以下のようなフローを構築しました。

5.モニタリング・フィードバックの流れ

しかしながら、今後は

1)モニタリング・フィードバック
・品質管理部門はモニタリング評価を行い、その後、コミュニケーターへのフィードバックをする(弊社がその業務をアウトソースとして受託)。

・フィードバックではコミュニケーターと相談し、「今回のアクションプラン」として、今後にむけての改善テーマを2つ決める。

2)GOOD音声の提出
・コミュニケーターは、「今回のアクションプラン」の改善テーマにおいて、以前よりも改善された音声をGOOD音声として自身の現場管理者へ提出する。

3)フォロー(ミニ面談)
・現場管理者は1)のモニタリングの結果や音声と、2)のGOOD音声を照らし合わせて確認。
・その後、コミュニケーターに5~10分程度のミニ面談を行う。

4)品質管理部門と現場管理者が情報共有、連携
・月1回程度、品質管理部門と現場管理者で「品質会議」を開催し、活動の振り返りや情報共有、課題への議論などを行う。
・話し合われた内容をもとに、次回にむけて一連の活動のブラッシュアップを図る。

3)の現場管理者からのフォロー(ミニ面談)では、現場管理者はまだモニタリング指標に対する理解が浅いため、応対への指導というよりは、コミュニケーターの挑戦や努力に対して承認をすることを目的に行うこととしています。

現在、まさにこの仕組みを現在、展開しているところです。

日々、試行錯誤を繰り返しながら、品質向上への働きかけを模索していますが、コミュニケーターからすると、品質について向き合う機会が増えることは間違いありません。

これまでオペレーション管理をメインに行ってきた現場管理者からすると、人によっては初めて品質と正面から向き合う方もいます。

その場合は、品質の視点で音声を聞き慣れることからスタートします。コミュニケーターにとっても、現場管理者にとっても新鮮な活動かもしれません。

新たに立ち上げたこの仕組みが半年後、一年後、どのような結果として反映されてくるのか。いや、着実に反映させていく必要があり、今後も日々の精査が重要だと考えています。

いかがでしたでしょうか。

やはり何よりも大切なのは、センターが一丸となって品質向上に目を向け、あまり派手ではないけれど、日々の小さな地味な積み重ねを着々と継続していくことです。

品質向上や人材育成は一足飛びに変化をするものではありませんし、仮に急上昇できた場合でも、それを定着に導くためにはやはり時間が必要です。

日々のお客さまとセンターとの通話をつぶさにウォッチし、気づきがあれば迅速に現場と共有する。そして、それらの活動の輪を少しずつ広げていく。

その先には、お客さまからの真の「ありがとう」が待っていると私どもは確信しています。

参考になりましたか。

コールセンター・チーフコンサルタント 石橋由佳

サービスのご紹介

モニタリング・フィードバック業務をアウトソースしていただけます。応対品質の向上に向けて、丁寧かつきめ細かくご支援いたします。

電話応対のトレンドや、コールセンターに求められていることは何か?に着目し、センターの「あるべき姿」に向けて、応対品質を改善します。