教育・研修前の動機付けは?

日々、多くのコールセンターにて教育・研修を行っています。3時間研修もあれば、数日に渡る長時間の研修もあります。コールセンターを持つ企業様から、当社のような会社へ研修を御依頼されるということは、時間と費用等に投資をしていただていることになります。

そのような投資に対して、私たちは綿密に事前準備を行い、当日は高い意識をもって望んでいます。また、研修当日は休憩のたびに、管理者の方と方向性のすり合わせや受講生の反応について確認しています。それがどういうことなのか、少し説明しましょう。

その際に「研修の立ち上がりが早い(遅い)」という表現をよく使います。これは、受講生の学習にむけての姿勢が整うまでにどのくらいの時間を要したかということを表しています。

同じ研修でも、あっという間に「やるぞ!」といったやる気がみなぎるグループから、いつまでも落ち着かない状態が続くグループまで反応は様々です。時には研修を受けること自体に不満があり、講師にむけて「そんな気分ではない」とやや大人げない姿勢で参加をする方もおられます。

(例えば、研修にあたって管理者の方と事前にもめていて、納得がいかないまま当日を迎えている等、理由はさまざま)

ここで、昨年あった某コールセンターの事例をご紹介しましょう。

そのセンターは規模が大きく、2社のアウトソーサーが常駐をしてセンター運営をしていました。仮にA社とB社としましょう。そのときはシフトの関係上、アウトソーサーごとに研修を進めることになりましたが、A社とB社の違いは明らかでした。

A社のコミュニケーターは、研修ルームへの入室時から、「おはようございます!」とはつらつとした印象で、研修がどこか楽しみな様子。カリキュラム最初のアイスブレイクのときから盛り上がりをみせ、学習へのいいスタートが切れました。

一方、B社のコミュニケーターといえば、どことなく不安気な表情で研修ルームに入ってきます。研修が始まって、何かいいたげな印象なので聞いてみると、「今朝、出勤して初めて研修のことを聞いたのですが、今日、私たちはコール対応するのですか?」と聞いてきます。

また、研修が何時まであるのかさえ知らない人がいたようです。当たり前ですが、そのような状態のため、まずは「今日の研修がどうして企画されたか」「今日はどんなことを学習するのか」などを丁寧に説明し、不安を取り除くところから始まります。

ある程度の研修時間がある場合は、どんな状態でスタートしても最終的には帳尻を合わせることができますが、3時間研修など短い研修の場合はやはり学習の深さに響いてきます。

この事例のようにそこまで極端でないにせよ、学習への動機づけの質の差はあります。
管理者は研修当日までに以下のような内容を丁寧に伝えることが大切です。

 □今回の研修が企画された背景
 □今回の研修に期待すること(研修ゴール)
 □受講するコミュニケーターに期待していること
 □研修概要(対象者や時間、主な学習内容など)
 □講師紹介

また、これらの情報をE-mail配信やポスターの掲示だけで済ませてしまい「事前の告知はしておきました」というケースもありますが、これではマネジメント側の伝えたいことは浸透しづらく、かえって不安だけが助長されている場合もあります。時間はかかりますが、管理者が熱意をもって、出来るだけポジティブに伝えることが必要でしょう。

冒頭で述べたように貴重なコールセンターへの投資としての「教育・研修」を最大限に生かして頂きたいといつも思っています。そのために、コミュニケーターへの教育・研修前の動機付けは重要なこととして捉えてください。

ご理解頂きましたでしょうか。


コールセンター・チーフコンサルタント 石橋由佳

サービスのご紹介

コールセンターの要であるスーパーバイザーへの研修は、センターの実情に合わせて柔軟にカスタマイズした研修カリキュラムをご提供します。「わかる」を「できる」に変える実践型トレーニングです。

boosterの研修は、オリジナルのテキストやロールプレイングを取り入れ、楽しみながらアタマとカラダで吸収することができるカリキュラムです。研修を検討した背景に着目し、明確なゴールを見据えた学習をご提案します。