コールセンターでの「質問を会話に活かす」には?

電話でのコミュニケーションの成功の要因に、「いかにお客さまからお話をしていただくか」というポイントがあります。インバウンドでは、お客さまの要望を正確に把握しなければ的確な案内はできません。

また、アウトバウンドにおいては、お客さまの状況や関心を持たれていることを聞かなければ、相手の心を動かすような説明や案内はできないのです。そのため、お客さまの話を促すため、質問をするようにと指導しているセンターは少なくありません。

多くの場合、質問内容や会話の流れの中でのタイミングが示され、指導されるのですが、コミュニケーターにとっては実行に移しやすい内容なので、ある程度の期間指導を続けると、質問の実施率はグッと上がります。

一般的に、本来質問は目的があってするものです。たとえば、「この商品のどんな点に興味をもっていただいたのですか?」と質問をするなら、お客さまが興味を寄せるポイントを明らかにしてその点にフォーカスしたセールストークを展開する、といった具合です。

ところが、質問をすること自体が目的になってしまうと、「この商品のどんな点に...」と聞いて、お客さまからお答え頂いても、「さようでございますか。ところで、この商品は現在キャンペーンを行っておりまして...」などと、質問内容とは関係のない会話をして、話の腰を折るということはありませんか。

これでは、お客さまも「いったい今の質問は何だったの?」と感じるのではないでしょうか。

お客さまのお話しを受け止める際に、まず大切なのが「共感」です。表情豊かな相槌をうち、お客さまからいただいた「答え」に対し、しっかりと「受け止めていますよ」という姿勢を示します。

お客さまのお話しを繰り返す「オウム返し」でもよいですし、お客さまのお話しをまとめる「要約」のスキルを使えば、内容を確認しながら会話を進めることができます。

いずれにしても、いったん立ち止まって気持ちをこめて共感を示すことが大切です。「その後の展開」を指導する場合は、お客さまからの「答え」に対する具体的なトークを供給するのも重要です。

たとえば、定期商品の解約を受け付ける際に、解約の理由を伺うケースがあります。お客さまの答えの内容によっては、再度ご説明することで解約を抑止することができるためです。

ところが、肝心の説明トークが用意されていないと、コミュニケーターはなす術がなく、必然的に次の話題へと移らざるを得ません。

解約の理由というのは、「支払いが厳しくなった」「値段が高いから」「他社の方がよさそうだから...」というように、多くがネガティブな意見です。したがって、その場でカウンタートークを考えることは難しく、事前に練られたトークで対応する必要があります。

「『解約』というお手続きでなく、『休止』というお手続きもございますが、ご存知ですか?」「まとめて購入されるとお得です」「1日あたりで考えると、実は他社よりもずっと安価なんです」など。

こうしたトークがあらかじめ用意されていれば、コミュニケーターは心に余裕を持つことができ、質問→答え→対応という一連の流れを頭にイメージしながら会話することができるはずです。

質問を糸口にしてお客さまとコミュニケーションをはかり、おすすめや解約抑止につなげる、というのはとても有効な手段ですが、「質問しっぱなし」にならないよう、会話のしくみをしっかりと考えたいものです。

参考になりましたか。

コールセンター・チーフコンサルタント 石橋由佳

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