コールセンタートレンドの変化「言葉にして伝える」

1.電話応対にもトレンドがある

コールセンターは過去から現在に至るまで、お客さまからの様々な問い合わせや各種の手続き・各種対応などを担ってきました。

この電話業界に携わって25年以上が経ちますが、その間、お客さまからの問い合わせの内容に大きな変化はないように思います。

しかし、電話を受けるコールセンター側の話し方や応対の雰囲気には、その時代の流行りというものがあり、それが常に変化していると感じています。

その昔、コミュニケーター(オペレーター)はほぼ全てが女性で、数少ない男性コミュニケーターは役者やミュージシャン志望といった人たちが多かったものです。髪型や服装を気にすることなく勤めることができるのが魅力だったようです。

女性の職業としてのイメージが強かった影響か、コミュニケーターの声はワンオクターブ高く、裏返った「お化粧声」で話すのが主流でした。

小さい頃、母親が家の電話が鳴ると、裏返った高い声で電話に出ているのを聞いて大人は不思議だなぁと感じたことを思い出します。昔のエレベーターガールのような話し方も同様でしたが、コールセンターの応対もこうした声だったのです。

現在では、そのような話し方をするコミュニケーターやセンターは極めて少数派です。地声で話す人が多く、自分の声が低めだと思っている人はやや高めに話すことがあっても、声を裏返して話している人はほとんどいません。

裏返った「お化粧声」には、いかにもコールセンターのプロフェッショナルという印象もありますが、一方でコミュニケーターの人となりが見えづらいとも言えます。

そのため、コールセンターに親身さや寄り添うようなトレンドが、求められてくるようになると徐々に影を潜めていきました。

2.ここ数年における応対のトレンド

運営レベルに目を向けると、コールセンター業界では、効率をひたすら重視していた時代が長く続きました。効率を重視する場合、コミュニケーターの人となりを見せてしまうと、お客さまから気軽に話しかけやすくなるため、通話時間が長くなりがちです。

そのため、杓子定規な応対をして人間味を隠すことで、通話時間をコントロールしているケースも珍しくはありませんでした。現在でも、そのような運営方針のセンターが数多く存在することも確かです。

しかしながら、コールセンター業界が成熟するにつれ、センターを運営する上で効率と共に品質も、はずせない指標となっており、お客さま視点という言葉もよく使われるようになりました。

例えば、笑顔のある声を「笑声」といい、明るく親切さが感じられる話し方が求められるようになっています。

また、声の出し方だけでなく、話す内容にも変化が起こっています。少し前までは、何がそうさせていたのかはわかりませんが、「コミュニケーターは数少ないお客さまの言葉から何とかご要望や言いたいことを汲み取って応対をすべき」と考える人が多くなったからでしょう。

お客さまとの会話で多少理解ができない点があっても、話を進めていく中で、なんとか真意を探ろうと努力をするのです。

その場合、当然ながらそれではお客さまとの会話が、うまくいくはずもありません。現在では、もし疑問点があれば、しっかりと質問をしクリアにしてから、次の話に移るように指導をされることが多いです。

3.言葉にしなければわからない

また、こんな事もありました。

顧客満足に苦戦をしていたあるセンターでのことです。

一次対応のコミュニケーターがこう話していました。

「私たち一次対応の部門は、お客さまからご要望をお聞きして、案件ごとにしかるべき二次対応の部門に転送をするのが仕事です。

そのため、問い合わせの概要だけがわかればいいのですが、お客さまによっては問い合わせに至った背景や詳細なことを話なされます。

ここでお聞きしても、また二次対応の担当者が1(イチ)からお聞きすることになり、それは申し訳ないので、なるべくそうならないように即座に『◯◯ですね、かしこまりました。少々お待ち下さい』と転送をするようにしています。」と。

これは、お客さまのことを思っての対応だったのでしょう。

モニタリングをしてみると、お客さまは話の途中で言葉を制され、突然、保留音が流れてしまうため、雑にたらい回しにされたとしか感じられませんでした。

電話応対の場合は対面と違い、そのような配慮などが伝わりづらいものです。

そのため、すべて言葉にして、会話のテーブルに乗せないとわかり合うことは難しいので、すぐにスクリプトに以下の部分を追加しました。

「お客さま、申し訳ございません。お話の途中ではございますが、私から少しご案内をさせていただいてもよろしいでしょうか。私どもでは、お客さまからのお問い合わせ内容に応じて、専門の部署をご用意しております。

ここでせっかくお話しいただきましても、次の部署でもう一度詳しい状況をお聞きすることになります。ここまでの情報をもとに専門部署に引き継がせていただきければと思いますので、恐れ入りますが、少々、お待ちいただけますか。」

このようにその理由をしっかりとお伝えすれば、お客さまの不満につながることはないでしょう。

4.自分の思いや考えを伝える

このような背景から、最近、当社の研修では、こちらが考えていることやお客さまに気づいて欲しいことはなるべく言葉にして伝えるよう、指導をしています。たとえば、以下のような表現です。

1)お客さまの話が理解できないとき

「お客さま、お聞かせいただき、ありがとうございます。申し訳ございませんが、いま、お客さまからお話いただいたことについて、私の理解が正しいか確認をさせていただいてよろしいでしょうか。今回のお問い合わせは、◯◯ということでお間違いございませんか?」

2)年配のお客さまにどのくらいの声で話すのがよいか迷うとき

「◯◯さま、お電話ですので、私の声が少し聞きづらいかと思います。少し声を大きめにお話をしていますが、今の私の声、聞き取りづらくありませんか?
では、もう少し大きめ(高め)の声でお話してみていますね、いかがですか?
もし、聞き取りづらいところなどがありましたら、話の途中でも、どうぞ遠慮なく、お声かけください。」

3)お客さまのお役に立てるよう取り組みたい姿勢を伝える

「[ご用件の復唱確認のあと]改めまして、私、(担当者名)と申します。
・わかりやすいご案内を心がけますので、どうぞよろしくお願いします。

・最後まで責任をもって、しっかりと対応をさせていただきますので、
 どうぞよろしくお願いします。

・本日のお困りごとが解決し、
お客さまにご安心いただけるまで、 しっかりと対応をさせて いただきますので、
このあと、どうぞよろしくお願いします。」

4)サポートセンターなどで、難しい問題が解決できて嬉しいとき

「[クロージングあたりで]本日は(担当者名)がご案内しました。今回のトラブルは私どもでも始めてお聞きした現象だったため、最初は解決できるか不安になりましたが、最終的には解決に至りました。◯◯様には色々とお力添えいただきまして、ありがとうございました。無事に解決ができまして、私も大変うれしく思います。また、大変いい勉強になりました。」

5)「とっさの一言」トレーニング

自分の言葉で話すことなく、スクリプト中心のコールセンターで経験を踏んできたコミュニケーターのなかには、その場の状況に合わせてとっさの一言をいうのが不得意とする人は多いるものです。

ご家族が亡くなったとお聞きしても「ご愁傷さまです」「それは大変なときにご連絡をありがとうございます」が出てこない。わかりやすい案内にお客さまから丁寧なお礼をいただいても「わざわざご丁寧にありがとうございます。今後の励みになります。」といった言葉が言えないのです。

そのような場合は、ゲームのような「とっさの一言」トレーニングを実施しています。あらかじめお客さまのお話やつぶやきとそれに対するサンプル回答をセットで数多く準備しておき、二人一組のロールプレイングでとっさに反応する力を磨くのです。

単語帳のようなカードにいくつも題材を用意して遊び感覚で練習をすると、コミュニケーターは身構えることなくスムーズに学びを吸収しています。

最初は難しいようですが何回か繰り返ししていくうちに反応力がつき、自分なりに考えた言葉で返せるようになってくるものです。

6)人と人とのつながり

改めて考えると、コールセンターの会話は電話のプロとお客さまとのやりとりではありますが、一方で人と人との一対一のつながりです。

こちらの考えや感情を見せることは決していけないことではなく、それらがあったほうがお客さまとの信頼関係も構築できるはずです。

古くからの習慣や雰囲気にとらわれすぎず、原点に立ち戻って考えれば、改善する方向性も見せてくるのではないでしょうか。

いかがでしたでしょうか。

貴社の電話応対を見つめ直すひとつのきっかけになれば幸いです。

参考になりましたか。

コールセンター・チーフコンサルタント 石橋由佳

サービスのご紹介

「感じのよい応対」を目標として、学習効率の高いカリキュラム。「わかる」を「できる」に変えるため、オリジナルのテキストやロールプレイングを取り入れた実践型の研修です。

コールセンターの応対品質向上のためには、第三者の視点で品質レベルを把握することが大切です。弊社では、事前に設計した綿密な調査計画に基づいたモニタリング調査を実施します。