シリーズコラム「メール応対評価」:(1)メール応対品質管理の重要性

(1)メール応対品質管理の重要性

電話は長い間、企業とお客さまの主たるコミュニケーションの窓口でしたが、現在はそれに加え、メールでの対応も主流になりつつあります。

メール応対はお客さまがインターネットのホームページ上にあるお問い合わせフォームに内容を入力し送信すると、企業(センター)がお客様指定のメールアドレスへ返信をしてくるといった流れです。

コールセンターのように受付時間があるわけではないので、お客さまは都合のよいときに問い合わせをすることが可能であり、日中コールセンターに電話をするのが難しい比較的忙しい世代を中心に利用されています。

以前は、若年層が利用者の多くを占めていましたが、徐々に広がりをみせ、いまでは世代に関わらず利用者が急速に増えつつあります。また、デジタルメディアの特徴として進化のスピードが早く、メールに加えて、チャット、SNS、各種のアプリなども出始め、目的や使い勝手によってお客さまがツールを選択する時代に入ってきました。

いまや多くのコールセンターでは電話応対の品質チェックを行い、その結果に基づいて品質向上への取り組みを展開していますが、メール応対の品質のチェックはどのようになっているのでしょうか。

電話の場合、受付体制以上に問い合わせがきた場合はあふれ呼で取り切れないこともありますが、メールの場合は企業のキャパシティに関わらず、どんどんと受け付けることができてしまうといった特徴があります。

そのため、日増しに増えつつある問い合わせに対して、とにかく返事を返すことで手一杯のセンターが多く存在します。一方で、顧客窓口としてのメール応対に早くから着手しているセンターは、その応対品質を電話センターと同様のスタイルで管理し、それに基づいた教育や指導を行っています。

業界全体としてはメール応対の品質管理はまだまだこれからの状態で、メールの運営担当者がその応対のあるべき姿を未だ描けていない場合も少なくありません。

電話であれば、録音された音声にお客さまの満足、不満足な様子が声として記録されていますが、メールはお客さまの満足度を含めた反応がわかりづらいことがあり、顧客がどれくらい満足なのか、不満なのか、現在の対応に問題があるのか否かのかがよくわからないのです。

弊社においても、メール応対の品質管理のご相談が増えてきています。

「メール応対の品質管理の評価基準を作って欲しい」、

「調査で応対レベル(品質)を調べて欲しい」

「競合他社を含めた業界内の動向を調べて欲しい」などです。

課題意識は漠然とあり、現在の対応がベストではないことは感覚的に捉えているものの、客観的な視点からみて欲しいというご要望です。

 弊社もメール応対の品質管理の重要性は日頃から強く感じています。センターから返したメールがお客さまのご要望とは異なった不満足なものだった場合でも、多くのお客さまはそのやりとりから何も言わずに去ってしまうだけで、満足できない思いや意見をきかせてくれません。

さらに、返事を送ったセンター側としては、そのまま何も連絡がないため、不満足を発生させているという危機感はなく、そのまま見過してしまうのです。

この「物言わぬ不満足な顧客」が企業にとってもっとも怖い存在であることは改めて述べる必要はないでしょう。顧客の自然減の原因をセンター内で日々発生させているという認識がないことが一番怖いことです。

メール応対の特徴をクライアント様と共有しつつ、まずは実態を把握するところから着手するケースがほとんどです。お客さまの傾向やコールリーズンならぬメールリーズン、それに対する返事の内容と質、対応のスピード感、担当者ごとの回答のばらつき、応対品質としてのレベル感等々の実態をまずは知るところから始めませんか。

いくつかのクライアント様では、ミステリーメールでの業界内での比較調査も行い、競合他社の応対レベルがさほど高くないことを知り、先手を売ってメール応対では業界No.1をとるべく様々な取り組みをスタートしているセンターもあります。

今後、さらに増加することが確実なメール応対。電話応対とメール応対の共通部分と異なる部分を理解し、まずは現状を把握することから始めるのはいかがでしょうか。

コールセンター・チーフコンサルタント 石橋由佳

サービスのご紹介

コールセンターの応対品質向上のためには、第三者の視点で品質レベルを把握することが大切です。弊社では、事前に設計した綿密な調査計画に基づいたモニタリング調査を実施します。