シリーズコラム「メール応対評価」:(2)対応時間が基本

(2)対応時間が基本

電話の場合、通話が始まった瞬間にコミュニケーションが始まりますが、メールは担当者が問い合わせメールを開封し、返信を書いて送信するまでに一定の時間がかかります。

そのため、メール対応では問い合わせをいただいてから返信をするまでの時間を一定の範囲内に管理することが重要です。(もちろん、すでにメール対応システムが導入されている企業様も多いと思いますが、今回はそうしたシステムを使用していない企業様の事例です。)

業種や商品・サービスの内容にもよりますが、多くのセンターは返信までの時間を「24時間以内」あるいは「1営業日以内」としているケースが多く、受付時間ごとに返信時刻の目標を設定するセンターもあります。ところが、なかには目標時間を大幅に過ぎてしまうケースが見られます。

先日、ある通販会社様の依頼でミステリーメールを実施しました。ミステリーメールとは、ミステリーコールのいわばメール版で、実際の顧客を装ってクライアントを含めた競合各社に問い合わせメールを送信し、対応を評価するものです。

調査対象の各社はいずれも大手の通販会社で、電話対応において高い品質を誇っています。そのため、メール対応でも相応の水準であると予測して調査を行いました。すると、メールの内容については各社いずれも安定したレベルでしたが、返信までに大幅に時間がかかっているメールがありました。

問い合わせは平日午前中、午後、夕方の各時間帯に同じ本数ずつ実施しました。夕方の問い合わせはセンターの受付時間外をはさむため、各社ともやや時間がかかる傾向にありましたが、それでも調査対象となった各社の返信までの時間をみると、速い場合で1~2時間程度、遅くとも12時間以内が7割以上で9割のメールは24時間以内に返信されていました。

ところが、そのうち2社において返信までに30~40時間以上かかったメールがあったのです。いずれも夕方の問い合わせではなく、内容的にも特に複雑なものではありませんでした。同じ時間帯に同一のセンターに送ったメールはすぐに返信されており、センター全体の稼働が極端に上がり、それが理由で遅延が発生していたとは考えにくい状況です。

レスポンスが遅れた理由について分析を進めていくと、2社とも、返信が遅かったメールは同じ担当者からのものであることがわかりました。

メール対応の場合、センターに入った問い合わせを各担当者に振り分け、担当者がメールを作成して最終的なチェックを経て返信する流れが一般的です。このプロセスで、お問い合わせが振り分けられた後は、各担当者がその案件(メール)を抱えることになります。

ここで、その担当者の処理が遅れた場合、最終的な返信タイミングまでがずれ込む結果となります。もちろん、問い合わせからの経過時間をスーパーバイザーが管理しているセンターも多いのですが、担当者まかせになっていて後からチェックして遅延が判明するケースも少なくないのではないでしょうか。

その結果として、しばしば目標返信時間の超過につながってしまいます。

基本的に、メールは返信までにタイムラグが発生します。お客さまはそのことを理解していますが、あまりに返信が遅いとそれだけで不満を感じ、「物言わぬ不満足な顧客」となりかねません。

目標は設定したはずなのに、守られていないことがある―そんなことがないよう、やはり定期的な品質チェックが重要だと言えます。

コールセンター・チーフコンサルタント 石橋由佳

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