コールセンター 電話応対講座 AtoZ_07

お詫びのシーンの重要性

第7回目は、前回の「お礼」に引き続き、「お詫び」の伝え方について考えてみましょう。

コールセンターでのお客さま応対における「お詫び」のシーンは、お客さまとの信頼関係を構築する上で重要な意味を持っています。

コールセンターでのお客さま応対における「お詫び」のシーンは、顧客との信頼関係を構築する上で非常に重要です。コールセンターにかかってくる電話は、ポジティブな問い合わせよりも、不安や不満を抱えたネガティブな状態であることが多いかもしれないからです。お詫びのシーンを磨くことで、よりスムーズでかつお客さまとの信頼関係構築につながるようにしたいものです。

お詫びの際には、まずお客さまの感情を真摯に受け止め、誠実に応対することが大切です。状況に合わせた個別の対応をすることで、お客さまは自分の問題が真剣に扱われていると感じます。さらに、お詫びの言葉だけでなく、問題の解決に向けた明確で具体的な対応を示すことが求められます。

弊社では、いわゆるご指摘応対を集中的に担当しているコールセンターの一部門の品質管理の業務に長く携わっています。そのセンターに入ってくるお客さまのご要望やご意見、お怒り度合いは本当に様々です。それらの応対品質をみるために録音音声を聞くのですが、時にどこでお客さまのお怒りスイッチが入ったのかを過去にさかのぼって確認することがあります。そうすると、最初はなにげない会話だったはずなのに、ある時点からお客さまの語気が徐々に強まり、そのうち憤慨するといった場面にしばしば遭遇します。その際の会話のやりとりをつぶさに確認すると、か細い「申し訳ございません、、、」が存在するのです。また、時としてお詫びを言えば言うほど、お客さまのお怒りが増し、「謝ればいいと思っているのか!」と厳しい言葉をかけられることもあります。対応したコミュニケーターは、これ以上に謝ってもいけないし、どうすればいいのかわからない状況に陥ってしまうのです。

こうしたケースの原因のひとつに、表現力の乏しさがあります。電話の場合、表現力は対面よりも二分の一程度になってしまうため、一生懸命に謝っているつもりでも、抑揚などが不足していたり、声が小さかったりすると、お客さまからはただ口先だけで謝っているように思われてしまうのです。いくら気持ちがあっても、電話での話し方の技術をある程度は持っていないと、お客さまの心にメッセージを伝えることはできないのです。

このように電話応対をする際のお詫びは、心構えからその内容、表現力を含めた伝え方が重要になってきます。以下で整理してみましょう。

実践ポイント!  

ポイント① お詫びのシーンの心構え

一言でお詫びのシーンといっても、お客さまとの通話の状況は様々です。お客さまの問題や感情に共感し、誠実に対応することが必要です。決まりきった返答ではなく、個々のお客さまの状況を理解し、それに応じた対応を心がけるようにしましょう。

また、対応する側も不安になるためつい消極的になりがちですが、お客さまの言葉は背を向けず、あえて正面からしっかりと向き合うような意識も大切です。また、そのような態度をしっかり示すことができると、会話が少しずつやわらぐきっかけになることもあります。

ポイント② ゆっくりと、抑揚をつけて

お詫びをいう際はゆっくりを心がけます。早口で言ってしまうと、無機質で事務的な印象になってしまい、さらにお客さまのお気持ちを害してしまうかもしれません。最近では、インターネット上に細かく時間が測れるストップウォッチなどのサイトもあるので、ぜひお詫びの長さを計測してみてください。1秒に満たない早いものと、2秒~2秒半ぐらいのお詫びでは印象が大きく違うことがおわかりいただけるかと思います。

キャプションが入ります

また、その際、最初の二文字に濁点をつけるようなイメージで言うのも大変効果があります。雰囲気としては、演歌のこぶしをまわすようなイメージです。

ポイント③ タイミングよく、バリエーションのある謝辞を

お客さま対応をしていると、つい次に話すべきことを考えるために、謝るべきシーンを見逃すこともあります。会話を前に進めることに集中しすぎず、問題が発生したらすぐに謝罪します。

また、ただ「申し訳ございません」ばかりを使うと通り一遍な印象になってしまうため、いくつかのお詫びの言葉をバリエーション豊かに使うことで謝辞を上質にすることができるでしょう。

ポイント④ 謝っている理由を具体的に

最後に、お詫びを言う際、何に対して謝っているのかを明確にする必要があります。

「大変お急ぎのなか、長らくお待たせしまい、申し訳ございませんでした」

「このたびの◯◯にあたっては、誤解を招くことになってしまい、心よりお詫び申し上げます。」

「◯◯の件では不具合が発生し、色々とご心配をおかけしてしまい、申し訳ありません。」

などです。

いかがでしょうか。上記の内容は当たり前のことばかりですが、その考え方ややり方だけをコミュニケーターに伝えれば実践できるものではありません。コールセンターで存在する具体的なシーンをイメージしながらロールプレイングなどで確認や練習をするのがおすすめです。この機会に、ぜひ「お詫び」のシーンを振り返ってみるのはいかがでしょうか。上質な電話応対のヒントになれば幸いです。

株式会社 booster 石橋由佳

サービスのご紹介

boosterのコールセンター向け研修は、クレームに直面したときに落ち着いて対応するためのオリジナルのサポートツールを用いた研修です。クレームの傾向をヒアリングしたうえで対応方法を検討し、研修内容をご提案します。

boosterのコールセンター向け研修は、オリジナルのテキストやロールプレイングを取り入れ、楽しみながらアタマとカラダで吸収することができるカリキュラムです。研修を検討した背景に着目し、明確なゴールを見据えた学習をご提案します。