コールセンターの学習定着を目指したフォロー活動とは

コールセンターの学習定着を目指したフォロー活動とは

1)コールセンターにおける育成教育

コールセンターはサービスそのもの、品質のすべてを「人材」が担うため、コミュニケーターの育成教育がとても重要です。

育成教育には大きく分けてふたつあります。

ひとつは新人向けで採用してからデビューまでの研修、もうひとつはデビュー後のコミュニケーターに向けてのフォロー研修です。

新人研修で扱うべき内容は多岐にわたります。

コールセンター業務を推進するには、該当する企業を知ることから始まり、提供するサービスや商品知識の習得、コールセンターシステムや顧客データベースを使いこなすための技術的な研修などでまで及びます。

また、昨今はコンプライアンスが年々厳しくなっているため、それらの教育時間は増加の一途をたどっています。

アウトバウンド対応よりもインバウンド対応の方が、総合的な問い合わせに対応する人材を育成する必要があるため、多くの研修時間を要します。

当社boosterでは金融機関のクライアント様は多いのですが、金融のコールセンターの場合はどちらも1ヶ月〜2ヶ月間を教育期間としています。

2)教育の成果を定着させるには
ここ数年、コールセンター業界全体では離職率が向上しているうえに、新規の採用が難しくなっていることから、一度にまとまった規模の人員を採用するというよりは、年数回に分けて、少しずつ採用をする傾向になっています。

そのため、常に新人教育を展開しているセンターもあります。

そういった背景から、既存のコミュニケーターへのフォロー学習が不可欠なことは十分に認識していても、そこまで手が回っていないセンターも多いものです。

そのような状況の中で多くの時間とコストを使って行う研修は、ただ実施すればいいというものではなく、一度学んだことをしっかりと定着させ、お客さまとの会話において実践・活用できなくてはいけません。

「定着」とは、考えなくても自然にできる習得レベルを指します。よく子供のしつけに例えられますが、お箸や鉛筆の持ち方がおかしい子に親が、その都度注意し、がんばりを承認していく中で、いつの間にか直っているといったことがあるでしょう。

その状態が定着です。

コールセンターの場合は親子関係のように1対1で向き合うことは難しく、教育は集団での研修活動に頼らざるを得ません。そうすると、研修で学習したことをどう定着へ導くかが肝となってきます。

3)定着のカギを握る実践フォロー

boosterでは年間にかなりのコミュニケーター向けの研修を実施しており、中には毎年、継続的に研修を行っているコールセンターも多々あります。

また、リスク分散の目的でコールセンターが複数拠点に分かれていることも多いのですが、そのような場合は各拠点にお伺いしています。

こうした場合、同じ研修を実施しているにも関わらず、拠点によって学習の定着度合いに大きな差が見られるケースがあります。この違いはいったいどこから生まれてくるのでしょうか。

この原因はひとつではなく、様々な要因が複合的に絡んでいることがほとんどですが、どんなケースでも明らかに定着度の差に大きく影響しているのは、研修後のフォロー活動(実践フォロー)なのです。

4)事例:外資系企業様のケース
ここで外資系企業のコールセンター様の事例をひとつご紹介しましょう。

こちらは外資らしく研修効果を測定するため、一定期間の追跡調査をして、その後の結果をきめ細かく分析していました。

このときは、数年の経験のあるコミュニケーター向けに「傾聴と共感」をテーマにした終日研修を実施し、2つのチームからほぼ同数の受講生が参加をしていました。

受講生は研修の翌日からは通常のコール業務に戻りましたが、約3ヶ月後に研修効果を測ったところ、2つのグループの学習の定着率にほぼ倍程度の差があったのです。

また、コミュニケーターからは研修の感想や気づき、自分がこれから頑張りたいこと(宣言)をヒアリングし、それらをグループ全体で共有し、学習へのモチベーション維持にも努めています。

こちらのセンターでは、SV(スーパーバイザー)は他の多くのコールセンターと同様に、SV自身が日常業務を実施しながら教育する必要がありました。

そのため、教育に使える時間はほとんどない状態だったので、朝礼などを有効に活用することで、コミュニケーターにリマインド(思い出させること)をしています。

一方で、研修効果をほぼゼロにまで下げてしまったグループは何がいけなかったのでしょうか。その原因は明確でした。ちょうど研修の時期にSVの異動があり、新しいSVとの引き継ぎがありました。

そのため、SVは研修のフォローまで手が回りませんでした。コミュニケーターは現場の管理者であるSVの意識や行動をつぶさに観察しています。

自分たちが研修で教わったことを全くやらなくても、SVがモニタリングをする余裕がないことがわかっているので、いつも通りの慣れた話し方を変えることもなく、お客さま応対を続けたのです。

こうすると、コミュニケーター自身の学習への努力が足りないように聞こえますが、そうではありません。個別のお客さま応対は非常に難しく、間違いのないよう、かつ品質も意識しながら応対すること自体が大変なものです。

それで、誰も見てないのならば、つい普段どおりの応対をしてしまうのも無理はありません。そのため、ちょっとした声かけやアイコンタクトだけでもいいので、管理者やSVから継続的に動機づけをし、がんばりを支援する必要があります。

5)事前の計画の重要性

私たちは、研修を実施する以上、その効果を最大化し、定着レベルにまで至ってほしいと考えています。そのため、最近はクライアント様に事前に研修後の実践フォローのカリキュラムを準備いただくことが多くなっています。

当社は、研修効果を最大化し、その効果がなるべく持続して、定着レベルにまで至ってほしいと考えています。

実践フォローを検討するうえでのカギは、各センターの事情に合わせたプランを考えることです。

ひとくちにSVといっても置かれた状況はさまざまです。実践フォローの活動内容は、各センターの事情に合わせています。それこそ下記のように事情は様々です。

■SVが教育活動に時間を割くことが難しい場合

■SVに時間はあるけれど会議室などの環境が不足している場合

■SVが電話応対も兼務しプレイングマネージャーとして活動している場合

■SVが人材育成のスキルを持ち合わせておらずフォローを任せづらい場合

........などです。

それでも、その様々の事情や環境の中でできる実践フォローを考え、展開することが重要です。「いま、できること」をベースに、事前にある程度準備をしておき、コミュニケーターが研修から帰ってきた直後からフォローをしたいものです。

研修効果を一時のものにするのではなく、しっかり「定着」させるために、センターにあったフォロー活動を検討してみてはいかがでしょうか。

参考になりましたか。

コールセンター・チーフコンサルタント 石橋由佳

サービスのご紹介

コールセンターの要であるスーパーバイザーへの研修は、センターの実情に合わせて柔軟にカスタマイズした研修カリキュラムをご提供します。「わかる」を「できる」に変える実践型トレーニングです。

コールセンターに求められていることは何か?に着目し、センターの「あるべき姿」に向けて、応対品質の改善をお手伝いします。