コールセンターやお店/販売店での電話の価値とは

1.その1本の電話の価値とは

コールセンターやお店、販売店にかかってくるお客さまからのお問い合わせの電話。

この1本の電話の価値はどれくらいだと思いますか?

それらの価値について、社内で共有をされていますか?

また、電話を受けている担当者は、それらについて考える機会はありましたか?

電話に赴く仕事、いわゆるコールセンターや企業の電話応対の部門、販売店で採用をされると、まずは新人教育を受けます。その比較的早い段階で、これから働く会社について知る機会があり、会社の歴史から企業理念、サービス概要やお客さまについて、一通り教わります。

それは良い意味での「洗脳の時間」と言っても良いでしょう。会社や商品を好きになってもらい、現場に出たときに魅力を感じた状態で、お客さまと話してもらいたいため、講師役の担当者もかなり熱が入る時間です。

しかし、そのなかであまり触れられない内容があります。それは「その電話1本の価値」についてです。広告/広報や販促、営業活動を全くしないのに、お客さまがどんどん集まってくるなんてことはないでしょう。

まずはお客さまに知ってもらわないことには、ビジネスのご縁は生まれません。その後も、見込客から顧客、長期に渡って購入・契約をしてもらえるロイヤル顧客になっていただくためには、企業としての様々な取り組みとたゆまぬ努力が必要となります。

それらに投じられた時間や費用があります。当然ながら、目に見えぬ労苦も費用も多く、それらのすべてを価値として費用計算することは難しいことでしょう。ただ、自社の見込客、既存顧客はどのようにして作られてきたのか、そのプロセスなどは知っておくべきではないでしょうか。

2.既存顧客と新規顧客

例えば、生命保険の既存顧客向けのコールセンターでの研修において「過去に先輩が競合他社の提案に負けないよう努力を重ねて、契約につなげたこと。

その後も長年の担当者のフォロー、企業の活動があったからこそ、いま、ここにまだ契約として存在することなどをしっかりと胸に留めておきたい」と伝えると、多くの担当者が強くうなずいてくれます。

これは保険という商品が、顧客データベースで過去の履歴を確認することが可能で、これまでの経緯や時間を少しは感じることができるからだと思います。

一方で、目に見えない新規顧客についてはどうでしょうか。商品を買う前にコールセンターに電話をして聞いてみる、お店に行く前に予約の状況など聞いてみる等々、事前に電話でやりとりをするケースも少なくありません。

そのような場面において、いい印象を残すのか、悪い印象を残すのかでは雲泥の差があります。お客さまに悪い印象を与えてしまった場合、そのお客さまは次の行動に移さないため、企業としては目にすることがない過去の見込客になってしまうのです。

私たちは「見えぬ見込客」「失われた見込客」などと言っていますが、その数や価値を想像すると、一度はお客さまからアクションがあっただけに残念な気持ちになります。

3.たった一言のやりとりでわかってしまうもの

お客さまづくりのプロセスなどを少しでも理解できていれば、あるいは新規のお客さまからの問い合わせがあったときには、心から「お問い合わせをありがとうございます!」と言えます。

また、顧客からの問い合わせであれば、「◯◯様、いつもありがとうございます!」と感謝の気持ちを込めて伝えることができるかもしれません。

ここで事例をご紹介しましょう。

boosterでは日々、さまざまな業種のミステリーコールを実施しています。


多くの場合、クライアント様と競合他社を含めた5社程度に電話をかけて応対品質の調査をしますが、その録音段階で、電話に出た担当者がお客さまのことをどう捉えているかがよくわかります。

ある通販業界のミステリーコールでは、お客さま役のシナリオに『どこの会社も同じように、「◯◯の方向けにぴったりです!」ってうたっているでしょう〜。だから、正直ちょっと迷っちゃうのよね〜。』というセリフがあります。

そこで、A社の残念な対応は、『はぁ~、、、(そんなことをわたしに言われてもなぁ・・・)。やはりお客さまに合った商品お探しになるには、一度お試しいただいて、ご自身で納得されたほうがよいかと・・・。他社様のことはわかりかねますので・・・』と返事をされます。

その返事を聞いたお客さまは、「自分が異常?」と自問自答する瞬間かもしれません。

一方で、同じセリフを言っても、B社は『そうですよね、迷いますよね〜、わかります。そのように数多くの商品があるなかで、私どもの商品にご興味をもっていただきまして、誠にありがとうございます』と気の利いた感謝の気持ちを言ってくれます。

もちろん、これはスクリプトの精度によるところも大きいでしょう。しかし、いくら優れたスクリプトがあっても、本心でそう思っていなければ、それはお客さまに伝わってしまうものです。

4.CRR、CRO、CPA・・・

広告の費用効果をはかる指標に、CPO、CPR、CPAなどがあります。CROは1件の受注にかかった広告費、CPRは1件のレスポンスを獲得するにかかった広告費、CPAは1件のサンプルや資料請求を獲得するのにかかった広告費を指します。

それは広告効果を図るために使われる指標で、企業の要であり、公開される数字ではないのですが、概念としては、電話の担当者も各数値を把握しておくべきでしょう。

一人のお客さまを獲得するのに、想像以上に多額の費用がかかっていること。この1本の問い合わせを得るために、一体いくらぐらいかかっているのだろうか?とイメージすることが大切です。

新人研修の雑談の時間に、新聞やテレビコマーシャルの広告費などを話題にすると、受講生は自分の想像よりもずっと高い金額に驚きます。そういったことを知っているだけでもいいかもしれません。

5.効果的に伝えるタイミングとは

新人研修にはパワーがかけられても、一度、現場に出てしまうとフォローの研修はほとんどできていないというケースが多いのではないでしょうか。

しかし、これらの学習は、現場に出てしばらくして、少し余裕ができてから伝えるのがよいかもしれません。新人研修の膨大な知識に埋もれさせてしまわずに、リアルにお客さまを感じることができるようになった早期の段階で、実施するのが得策でしょう。

その1本の電話の価値、ぜひ一度考えてみてはいかがでしょうか。お客様と一対一の直で接し、生で言葉を交わせる機会、どんどんなくなっている時代です。とても貴重で高価なものです。もしかすると電話で伝えられるメッセージが変わってくるかもしれません。

参考になりましたか。

コールセンター・チーフコンサルタント 石橋由佳

サービスのご紹介

インバウンドの「会話」を磨くことによって、顧客満足度の向上とビジネス貢献を同時に実現する応対を目標に、スクリプトの見直しや電話応対研修を実施。最も効果的な会話づくりを目指します。

コールセンターの中でも大変難しい業務であるアウトバウンド。細かい数値分析を元に業務を精緻化することで、確実に成果を獲得できるようお手伝いします。